大和郷にある教会
巣鴨聖泉キリスト教会(日本聖泉キリスト教会連合)創立1965年。 大和郷の一角にある緑と花に囲まれた教会、隣には牧師の木工房。 静かに賛美と聖書の学び、そんな礼拝の時をお過ごしください。
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「福音」とは何か?
このブログでも度々紹介してきたスコット・マクナイト『福音の再発見(The King Jesus Gospel)』に関わる話題です。
米国のゾンダーヴァン出版社が刊行する「カウンターポイント」というシリーズがあります。論争になっているような様々なイシューに対してフォーラムを提供し、複数の著者から異なる視点で寄稿してもらい一つの本にまとめるという試みです。これまでに40冊くらいのシリーズ著作が出ているようです。
その中の一冊で今年6月に出版予定になっているのが
Five Views on the Gospel
です。
発売を前にした促販企画のようなウェビナーが(日本時間で)5月23日の朝ありました。
この本を編集した二人がモダレーターとなり「5人」の寄稿者(うち一人、ジュリー・マが欠けましたが残る4人)がパネリストとして登場しました。
- The Reformation Gospel (Michael Horton)
- The King Jesus Gospel (Scot McKnight)
- The Wesleyan Gospel (David A. deSilva)
- The Pentecostal Gospel (Julie C. Ma)
- A Liberation Theology Gospel (Shively T. J. Smith)
これから書くのは主にその感想というか印象なのですが、マクナイトを除くとそれぞれの教派や神学伝統から見た「福音」を5-10分で語りました。
一番流麗にまとめていたのが「ウェスレヤン」を語ったデシルヴァと「解放の神学」のスミスで一番歯切れの悪かったのが「宗教改革」のホートンです。
特にホートンは改革派のレッテルを貼られることに多少神経質になっていました。というのも一番最初に語ったマクナイトが『福音の再発見(キング・ジーザス・ゴスペル)』でも新カルヴィン主義のジョン・バイパーを批判していたように、正面切った「福音とは何か」というテーマからいうとホートンが代表する立場が対立・衝突の矢面に立たされることを予感していたからでしょう。
ところでマクナイトを除いた他の3人はすべて教会史的に現れてきた教派的立場や神学的主張から見た「福音」ということであり、実質的にはそれぞれの立場の特徴点(distinctives)を語っているにすぎない部分が多いわけです。かならずしも「オリジナル・ゴスペル」とは何であったか、そのオリジナル・ゴスペルに対して各自の神学的特徴点はどの程度オリジナル・ゴスペルを反映しているのか、あるいは発展させているのか、といった思索には欠けていました。
各自のプレゼンの後、4人の間での意見の交換の時間があったのですが、やはりマクナイトがそもそも「福音とは何か」という定義の問題や「どのように定義するのか」という方法の問題が取り上げられていないということを問題提起していました。
マクナイトはそれらの問題を既に『福音の再発見』でかなりなスペースを用いてまとめているので、他の3人のパネリストたちが素通りしてしまっていることに違和感を感じているようでした。
またマクナイトは「意見の対立」を際立てるために(自著で指摘していた)ジョン・パイパーの「イエスは『義認』の福音を語った」というポイントを持ち出し、はたして義認は福音そのものなのかそれとも福音がもたらす益(benefits)なのか、と福音それ自体と福音がもたらす益を区別する必要があるのではないかとパネリストたちに問いかけていました。
さてこのウェビナーは都合90分のプログラムでした。おそらくアーカイブされて視聴可能になるのではないかと思いますが、『福音の再発見』が提起した問題を今後も深めていくために、参考になるのではないかと思います。
以上ブログ再開後の第1弾でした。
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