2016年5月23日月曜日

(4)『霊性』を神学する 3

先日、現代の英語圏神学者⑤、で取り上げたダイアナ・バトラー・バースの記事の最後で
ではダイアナ・バトラー・バースの紹介はここまでにして、別の連載シリーズ「霊性を神学する」で彼女の「神観」を取り上げたいと思います。
と予告していました。少々遅くなりましたがお約束通りこの記事で取り上げたいと思います。



あのロブ・ベル(の『ラヴ・ウィンズ』)がホストを務める「ロブ・キャスト」という個人放送局があります。

そのエピソード67でアメリカ宗教史(特に信仰覚醒運動)が専門のダイアナ・バトラー・バースがゲストで招かれ、既に現代の英語圏神学者⑤で紹介したバースの著書『グラウンディド』から多彩な話題でおしゃべりを展開している。





教会とその文化・時代環境とのディスコネクトの問題

 (10分過ぎくらい)北米東海岸ヴァージニア州チェサピーク湾にある小島の「タンジー島」を比喩にしながら、いくら歴史があり、代々島民たちに豊かな奉仕を提供してきた教会でも、温暖化で島が海面下に消えてしまった、地面がなくなってしまったどうなるか?と問題提起している。

 教会自体は良い教会だが、その教会が建っている土地(グラウンド)が消えてしまったら・・・。それがこの本のタイトルの背景イメージとなったのだ。
バース自身が経験した「従来の神観」が現代史の出来事と突合せて行くときに段々と疑問が深まっていったことを語っている。
 
 第一次大戦、第二次大戦(ホロコースト、原子爆弾)、・・・、そして9・11.

 悲惨な出来事がお許しになる(天高く座して歴史をご支配なさる)神は、はたして「愛の神」なのだろうか・・・。

 そのような「疑いの思索」で特にリードした疑問視が Where だった。
 Where is God in this? Where is God in that?

 そういう「苦難の中で神の居場所を捜し求める」思索の結果たどり着いたのが「神の臨在(God is WITH US)」であり「神の居場所の転換(垂直方向で天に離れている神、から、水平方向で共にいる神、from Vertical to Horizontal)」だったと語っています。

・・・とまあ、動画のテーマは主に神観を「垂直方向」で概念化するか、「水平方向」で概念化するか、と云う問題、前者が従来の神観を支えてきたのが今その枠組みが文化的に時代的にディスコネクトしてきているのではないか、と云う問題提起になっているのだと思います。(ディスコネクトの他にも「認知的不協和」などと表現しています。)



かなり不十分な紹介ですが、バースが問題にしているのは「霊性」と「神観」の問題であり、タンジー島の比喩で言えば、「霊性」は教会、「神観」が島/地面、と云うことになるのだと思います。

いずれにしてもあまり緻密な神学議論というよりも、もっと感性的な問題のキャッチの仕方から来ているように思います。

ただこの問題の設定の仕方、「『霊性』とそれに見合う『神観』」はいろいろ考えてみるに値するテーマではないかと思っています。

次回はバースが指摘している現象を、もう少し歴史神学的に緻密に考証している動画と資料を紹介したいと思います。(乞うご期待)

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