もう12年前になるが、会堂建替えの時、ピアノも新調する事にした。
幸い設計を担当してくれた今井俊介氏が、ピアノもなさる方だったので、ヤマハ総合特約店サクライ楽器まで一緒にピアノを探しに行ってくださった。
その時出会ったのが、ヤマハのG3だった。
中古だが、前オーナーが音大の学生だった(らしい)ことで、すべての音階でのばらつきが少なく良いコンディションと言うことだった。
要するに中途半端なオーナーだと、弾く曲が中音域に偏る傾向があるが、音大生だとより広範囲を弾く機会が多くなり、それだけ弦の使用頻度のばらつきが少なくなる、ということらしい。
購入以来、毎年1回サクライ楽器所属のベテラン調律士、Yさんのお世話になっている。
1年1回の顔合わせだが、毎回不思議に「何かこの前会ったばかり」のような気になってしまう。
仕事の邪魔にならない程度に、始まりと終わりの時、暫くおしゃべりをする。
今回は私の方から話題を振った。
朝日新聞の日曜版にグローブという特集がある。
11月17日は、ピアノは鳴り続ける、と言うテーマ。
てっきりYさんご存知かと思ったら、そうではなかったので、引っ張り出してお見せしたら、
「ああ誰々さんだ」
とか見知った方の名前を挙げたり、興味津々の様子。
せっかくなので差し上げた。
後で仲間にコピーしてあげるとのこと。
最近は調律の仕事だけではなく、あっちこっち講演・ワークショップの講師に呼ばれたりしているそうだ。
昔のような職人徒弟制度における技術の習得(見て覚える・盗む)ではなく、手取り足取り言葉を使って教える必要があるとのこと。
調律の仕事は全然疲れないが、講演は疲れる、と。
最後に専用布でピアノを撫で回すように拭き磨いている姿を見る時、「あー、Yさんにとってはピアノは子供のようなものなんだな」と思うのだった。
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