2014年11月19日水曜日

(5)エマニュエル・カレール『Le Royaume(神の国)』

このブログで朝日新聞が出す日曜版の一つ、GLOBEからのネタは三つ目となる。
価値観の違い
ピアノ調律

最近は新聞には一応目を通しても、斜め読み程度で終わってしまうことが多い。
時々面白く読むこともあるが・・・。

このグローブ版はテーマが雑誌風で面白く読めることがままある。

終わりの方のページには海外のベストセラーの紹介があるが、今回はフランス編だった。

浅野素女(もとめ)『書くことはさまようこと』 
が紹介している文学作品の3冊の中で(ノーベル賞受賞のパトリック・モディアノをさしおいて)筆者の目を惹いたのは、
エマニュエル・カレール『Le Royaume(神の国)』
であったのは題名からして当然であろう。

「テレビや映画でも活躍する多彩な中堅作家」であるカレールの『神の国』は
ある時期の3年間、神を信じて熱心にミサにも通ったという作者が、自身の姿を掘り下げつつ、キリスト教の真髄に迫るエキサイティングな試みだ。
イエスの死から聖書が成立するまでのキリスト教初期は神秘に満ちている。磔刑(たっけい)にかけられたひとりの男の惨めな死。そこに端を発して、キリスト教は不滅のローマ帝国を内部から侵食し、3世紀の間に覆してしまった。
これは、一体どういうわけなのか。カレールは探偵のように、歴史資料を縦横に駆使しつつ、2000年前の物語を現代に引きつけながら検証していく。
と、解説されている。

初期キリスト教が成立する歴史的背景としてカレールが焦点を当てているのは(浅野氏によると)、パウロとルカという二人の聖書記者らしい。

ユダヤ教の枠を越えて、キリスト教が広くローマ世界に浸透して行く鍵としてこの二人に注目するのは至極当然ではあるが・・・。

カレールの『神の国は』
宗教を材料にした娯楽小説でも、信仰の書でもない。それでいて信仰というものにがっぷり正面から取り組んだ野心作である。
と結ばれている。

少し読書欲をそそられた。
が、これだけでは余りにも浅すぎる。

フランス語は読めないし、現代フランス文学についても皆目何も分からないが、ネットととグーグル先生がついているのでとにかく検索開始。

どうやら日本語では何もそれらしき情報にはヒットしない。

著者名と本のタイトルをフランス語で検索するとそれなりに出てくる。

ビデオや記事を幾つか見てみたがやはり言葉の壁て何が何だか分からない。

そんな中、アマゾン英国にフランス語でだが読者書評が一つついていた。

最初これをグーグル翻訳で日本語に訳してみた。
結果は惨憺たるもの。(おためしあれ)

ちょっとあきらめかけたが、別な方法を思いついた。
それは英語に翻訳する、と言う方法だ。
This book covers the first fifty years of Christianity. Emmanuel Carrère conducted a fascinating study on the first disciples of Christ, including the four Evangelists and the groups they formed. Or how the message of Christ is re-translated, edited, published in the first communities around the Mediterranean. We are witnessing the different recruitment strategies of the first disciples, rivalries and alliances, the adventures of these far-traveling evangelists, all described in detail. Often Carrère imagine how it could have happened in the absence of documents or records accurate enough, but when he invented it has the honesty to say. Always with comparisons with events and actors of the modern era (Ben Laden, Lenin, Trotsky, Stalin) which, while avoiding anachronisms, allow to understand the events of 20 centuries old but have helped shape our history. Certainly books more competent, more scholars have been written on the subject. I tried to read one or the other, but these works have fallen from my hand after a few pages. This big book one, I devoured from beginning to end. An extraordinary evocation of what could be the atmosphere and life of the time, you'd be there....

いやー書評の内容はともかく、グーグル翻訳でこれだけ「読める」英語だったら、先ずは合格。

何でこれまでこの方法を試さなかったのだろう。

グーグル翻訳の便利な使い方を一つ習得した。(早速ドイツ語にも試してみた。)


先ほどの佐野氏の書評と比較すると、『神の国』が、厳密に歴史的な検証と言うより、より文学作品的洞察が先導しているのではないか、と思わせる書評だ。

幾らか読書欲は減退したが、しかし今まで越えられないとあきらめていた「フランス語の壁」が、グーグル翻訳である程度解決できることを知ったと言う収穫は大きい(今のところ)。



1 件のコメント:

  1. keiko s. düsseldorf, germany2017年3月29日 17:43

    今私も参加しているグラーツのkulturzentrumでの展覧会"VULGATA"に寄せて館長のdr.rauchenbergerが、最近読んだ本で最も面白いのがこのcarréresの「神の王国」と言っているので、早速グーグル。和訳はないとのことなで、ドイツ語訳で読んでみたい!!dr.rauchenbergerも神を理解するには芸術の神秘が必須、と言っている。

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