2015年10月6日火曜日

(5)英語圏ブログ紹介⑯

第4回N.T.ライト・セミナーが終わり一息ついているところです。

ブログの更新が一月ほど滞っています。

再開というほどのことではありませんが、手始めに『英語圏ブログ』シリーズの更新から。


THE JESUS BLOG、という新約聖書学専門のブログがあります。

寄稿者というか「複数で運営するブログ」の中でも、(新約聖書学で)現在最も充実しているブログではないかと思います。

クリス・キースとアンソニー・ルダンという若手に英語圏ブログ⑫で紹介した、少し先輩のジェームズ・クロスリーも加わり、最新の英語圏研究情報や動向を次々記事にしています。

 ※アンソニー・ルダンは、筆者のアズベリー神学校1年生のときのルームメイトが教えるUnited Theological Seminaryの新約学教授です。

最近(ここ数ヶ月)目に付いた記事の中では、

(1)Richard Bauckham Responds
(2)Hidden from the world in German Higher Education
が目に付きます。



(1)Richard Bauckham Responds

 最初にアンソニー・ルダンが書いた記事が、Are Firsthand Accounts More Reliable?

 そこでアンソニーは、たとえ「目撃者の証言」であっても記憶というものがときに信頼性がないのだから、いつも確かとはいえない。という見方を示します。

 その記事のコメント欄で誰かが、ボーカムの本、『イエスとその目撃者たち:目撃証言としての福音』を引き合いに出したわけです。

 今では重鎮の域に入ったかと思われるリチャード・ボーカムが、「目撃者の記憶の信憑性」を問われたことで、ディスカッションに参入するという面白い展開となったわけです。

 それを後日改めてボーカムの反論コメントを軸に構成しなおして記事にした、というわけです。

 ボーカムは、このブログ記事でも紹介したように、ときどきブログ上の討論に参加することがあります。

 といっても、ハータド(表記はフルタドとしていますが、発音は殆どハータド)のブログにしても、このジーザス・ブログにしても、かなり専門的なものなので、慎重なボーカム氏も登場したわけでしょう。

 こういう学術的な応酬がときどき見られるのが英語圏ブログの面白いところだと思います。

でも、まとめに使われたボーカムのコメントの最後の部分には目を留めておく必要があると思います。
Thank you, Chris, for your detailed attention to my arguments. I'm glad that we are in agreement about a lot of things. As you know, I esteem your work. We are both (and Anthony) facing up squarely to the key question: Where do we go now that form criticism has collapsed?
「様式批評学は倒壊した」という前提をボーカムも、クリスやアンソニーも共有した上で、『記憶』を梃子にした再構成アプローチに前進する、ということなのでしょうね。

 つまり福音書研究、史的イエス研究の方法論的方向の一つとして。


(2)Hidden from the world in German Higher Education

 こちらはジーザス・ブログについ最近加わった、クリスティン・ジャコビ (Christine Jacobi)
の初投稿記事です。

 ドイツ語圏で訓練されたクリスティンのスタンスはブルトマン再興を予感させるものらしいことを言っています。
Being a newcomer and researching, hidden from the world, in German higher education, I was able to meditate on and investigate these and other exegetical, theological and philosophical questions and surprisingly, many of my insights turned out to be very close to the theses of this famous man shown above. So I find myself asking: Are we living in a Bultmann-revival-era?
彼女がこれからどんな記事を発表するのか、今後注目したいと思います。

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