2015年1月13日火曜日

(5)マルコ7章16節はなぜ「抜けている」のか、②

さてマルコ7章16節はなぜ「抜けている」のか①から一週間が経ってしまった。

今回は動画でのボヤーリンの解説を紹介することになっている。
まだ十分咀嚼出来たとは言えないが、「まあこんなもんだろう」的なものに結局なるであろう。


United Bible Societies編のギリシャ語新約聖書では16節を本文から削除しているわけであるが、ボヤーリンは明らかに「16節はもともと本文に含まれていた」との見地から(『陰謀説』を含めた)議論を展開している。

そのことを先ず肝に銘じておく必要があるだろう。

議論・解説は大ざっぱに言うと、2つの部分からなっている。

一つは7章全体(実際は1-23節の部分と思われるが)の受け取り方について。
もう一つは15節と17節を繋ぐべき16節の意義について。

※ボヤーリンは戦略的に「大きな文脈」から自説を展開するが、ここでは「小さな文脈(15-17節)」から見てみよう。

①小さな文脈(7章15節から、17節辺りにかけて)
外から人の体に入るもので人を汚すことができるものは何もなく、人の中から出て来るものが、人を汚すのである。(新共同訳7章15節)
そして「消えた16節」が続き、17節
イエスが群衆と別れて家に入られると、弟子たちはこのたとえについて尋ねた。
では、とボヤーリンは問いかける。
一体「たとえ」はどこにあるのか、と。

ここで16節を見てみようではないか、とボヤーリンは提案する。
聞く耳のある者は聞きなさい。
ボヤーリンは、これが「たとえ」を導入する時の定型句であることを強調する。
それ故ボヤーリンは結論する。「15節はたとえだ。たとえに違いない。」

※さてこれに続く説明が理解に苦しむものとなるので、果たして読者の皆さんを納得させられるか甚だ自信がないが、とにかくやってみよう。

以下先ずはその部分を逐語筆記したたものを提示する。
The literal sense is exactly what it says in the book of Leviticus and the book of Deuteronomy.
A person does not become impure by putting things into the body but by the things that come out from the body.
And then he says, "Let him who has ears to hear hear," which means this is a parable and has a figurative meaning.
 「その後イエスは弟子たちに『まだこのたとえが分からないのか』(と言い)
and he explains, the things that go into the body don't make us impure but the only things that come out to TEACH US SOMETHINGS, namely, to teach us the MORAL and RELIGIOUS POINTS that when we think evil thoughts...when we do evil things, when we speak evil things, that we are behaving in a wrong way.
となっている。

ボヤーリンが言わんとしているのを推理してみると・・・、
(1)(15節の言は)レビ記と申命記にある通りの意味だ。
(しかしイエスのポイントはそこで終わらず、それを梃子にして・・・)
(2)イエスが指摘しようとした比喩的な意味は、(人の中に入るものではなく)人から出るもの・・・人を教える道徳的や宗教的教え・・・が「悪い思い・行い・言葉」となって出る時、それらは間違ったものとなる。

と言う風になっているようだ。

この辺でもうこんがらかってきたので、次回に譲るが、(1)の「レビ記と申命記にある通り」は何を指すのかがちょっと疑問だ。

恐らくレビ記11章、申命記14章の「汚れた動物」とそれに関連する「食物規定(カシュルート)」のことだと思うのだが、その場合
「外から人の体に入るもので人を汚すことができるものは何もなく、人の中から出て来るものが、人を汚すのである。」
という言はこれらの二つの箇所に「そのままある」のではなく、「字義通りの意味」として、レビ記11章、申命記14章に見られる「食物規定」が指すとおりのものである、と言うことではないかと思う。

補足すれば、・・・おっとこれでは歯止めがかからないのでヤメ。

次回に。





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