2011年9月21日水曜日

日本人によるパウロ研究

先日(7月20日)「ニュー・パースペクティブ・オン・パウロ」と言う記事の中で以下のような発言をした。
英語圏では神学や聖書学を専門にしているブログが数多くあるが、日本語圏では非常に少ない。
既に少し書いたがこの辺の事情を日本の研究者たちはもっと真剣に考えて欲しい。
学会に対してだけでなく、ネットパブリックに対してもせっかくの研究成果をもっと発表して欲しいものである。
筆者は現在主日礼拝の説教で「ガラテヤ人への手紙」を取り上げている。
既に4章に入っていて、いやもう4章の最後の区分、4:21-5:1に入ろうとしている。

筆者は原典釈義はしない(やったとしても中途半端なことしか出来ないので余りやろうと思わない)。
その代わりパウロ研究書や註解書(ワード聖書註解に収められている、リチャード・ロングネッカーの「ガラテヤ書」)などを参照している。

ネットでも色々探索するが、さすがにパウロ研究のトピックを記事にしているブログ(英語圏)は沢山ある。
最近の収穫としてはガラテヤ人への手紙に特化したサイトを見つけた。
Paul's Epistle to the Galatians

ガラテヤ書関連のトピックや書籍紹介などが行われているが、その他に「註解書文献リスト」と、『ピスティス・クリストゥー』を「主格」「目的格」のどちらに取るかで学者・文献をまとめているページがある。

今日それらのページを読んでいて二つ発見した。

発見①ちょうど講解しようとしている箇所に関するエントリーがあった。
Andrew Perriman on Galatians,4:21-5:1 Available Online)。
まだ全文読んでいないが、結構まとまった内容のものである。
pdf文書でHDDに保存した。

発見②『ピスティス・クリストゥー』のページに日本人研究者の名前が・・・。
Ota, Shuji. “Absolute Use of ΠΙΣΤΙΣ and ΠΙΣΤΙΣ ΧΡΙΣΤΟΥ in Paul.” Annual of the Japanese Biblical Institute. 23 (1997): 64-82.
これは珍しい。と言うかこのサイト主がリストに研究者・論文を網羅しようとしているからなのだろう。

さて先に引用したように日本人研究者は大学の紀要や論文集には発表するが、自分でブログを立ち上げ専門的な研究成果を一般向けに公開しようとする人が、少なくとも聖書学の分野ではなかなか見当たらない。
この辺英語圏のブログと比較すると大変な落差がある。

残念ながら太田修司氏のこの論文はネットには見当たらないが、氏が所属する一橋大学の方からネットで読めるようになっている何と2011年の論文がある。
これだ。
「ローマ書におけるピスティスとノモス(1)」

まっちょっと読み出してみたがやはり専門的過ぎて骨が折れる。
やはりブログのような形でもう少し一般読者に向けて噛み砕いて書いてくれたらなー、と思う。
でもネットにあるだけでも大したものだと思う。
それぐらい日本の研究環境はネットパブリックと断絶しているから。

この太田修司氏とはどんな研究者なのか殆んど詳しいことは知らないが、日本におけるパウロ研究ではかなりな人なのではないだろうか。前掲の論文でも大抵の欧米の研究者(筆者の知る範囲で)には言及している。

と、今日は主に自分用のメモでした。

1 件のコメント:

  1. 別のルートでコメントが2件寄せられたのでこちらの方に。
    「面白い論文を教えていただき感謝です。彼の論文集は手元にあるのですが、新しいものは知りませんでした。どこから、いつ手をつけたものかと思いつつ、月日が経つばかりです。」

    「いつも楽しくブログを読ませてもらっています。
    ところで太田修司氏のことですが当方が知って
    おります範囲で紹介します。
    1956年青森生まれ、埼玉大学理工学部出身、立教大学文学研究博士後期課程修了(組織神学)
    組織神学出身のお方ですがサンダ-ス著「パウロ」の翻訳者でもあります。 」

    以上ありがとうございました。

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