2011年8月31日水曜日

日本の牧師は勉強しているか?

今日は英国留学中で帰国中のY兄と神学も含めた四方山話をした。
断片的になるが適当に並べてみよう。

①N.T.ライトの「キリスト教起源シリーズ」の四巻目「パウロ神学」の本は来年出版されるかどうか。
本当は既に出版されているはずであったのが延び延びになっている。
昨年のホィートンでの神学会議では2011年と言われていたが、間もなく2012年とされた。
しかしY兄によると同時に執筆中の本が5-6冊あるようで、2012年も無理かもしれない。なぜならライト博士のパウロ研究に対する思い入れもあり、絶えず新しい資料を渉猟したり、新しい視点や領域を抱合しようとしているので、なかなか本にまとまらないのではないかとのこと。
まだ一年以上も待たねばならないと言うのは残念だが、それだけ分厚い研究成果を見せてくれるのだろう。そっちの方を期待してよしとするか。

②ポストモダンの教会の退潮傾向英国国教会は衰退している。
一部の教会はそうでもないかもしれないが全体的に見れば退潮傾向は明らかだ。
英国国教会の牧師の給料も意外と低い。
総じてポストモダンに突入している地域ではキリスト教会は停滞か衰退している。
米国の福音主義教会もメガチャーチに目を奪われがちだが、主流派教会は減少傾向にある。
日本もポストモダン圏にあると位置づけられるが、高齢化など将来衰退するのは避けられないだろう。

③大教会の牧師は大変だ。伝統のある教会の牧師も大変だ。少人数の会衆の教会で牧師が出来ればいい。
そう言えば著名な新約学者、C.K.Barrettが亡くなって、オビチュアリーをどこかのブログで読んだ。彼はメソジストの巡回説教者として20-40人位の教会で説教をしていたそうだが、誰も彼を大新約学者とは知らないで説教を聞いていたそうだ。
(これを書いている時点でそのブログを見つけました。新進気鋭の新約学者、ニジェイ・ガプタのブログです。多分「英語圏ブログ紹介」シリーズで今後取り上げるかもしれません。C.K.バレット訃報

④今新約聖書学をやるとしたらどこか。
最近はオックスフォードやケンブリッジには目玉になる教授がいないね。
ダーラムかセント・アンドリュースだろうね。
神学だったらエディンバーグもいいけどね。
英国の学風は深く落ち着いた雰囲気があるけど、アメリカはどうかね。基本的には浅く広くという印象がある。
リチャード・ヘイズのいるデュークはいいね。

と言ったようなことをあれこれおしゃべりした。
標題の「日本の牧師は勉強しているか?」については、どんな話の流れで出てきたかと言うと、依然として日本の神学や神学校教育は英語圏のものを翻訳して移入しているが、どうなんだろう。
本格的「日本の神学」を目指すような必要はあるだろうか。

いや、やはり聖書学で言うと英語圏の業績が量的にも質的にも圧倒的だ。まだまだ学ぶ必要はある。
そうなると英語で読まない限り翻訳に頼ることになるけど、日本のキリスト教出版事情では読者数が限られているからどうしても一定の神学者や定評のある本に限られてしまう。
そうすると翻訳された時点で20年、30年遅れてしまうことになる。

確かに日本の牧師は牧会や何やらに時間が取られていて勉強する時間が限られている。
説教の勉強と言ってもバイブル・ソフトを使ったりして釈義の細かいことはやるけれど、もっと広い聖書学の研究、例えば第二神殿期ユダヤ教についての学びなどをやっていないのでは。
例えば旧約聖書外典偽典なんかちゃんと読んでいないのじゃないか。

たまたま死海文書を邦訳で探してみたけれど見つからない。もしまだ邦訳されていないとすると、第一次資料のレベルで英語圏とは差をつけられてしまう。

まっ牧師が一人でこつこつ勉強するのもいいけど、読書会のような相互に刺激し合う場があると、もっと勉強するようになるのじゃないか・・・。

と言ったような話を二時間ほどしてお別れした。

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