今回二回目は既に紹介したことのある、レイチェル・ヘルド・エバンスのブログを紹介しよう。
「アメリカの新世代キリスト者①」、や「ディスペンセーショナリズム」で彼女のことについては、その著書「モンキー・タウンで進化する(Evolving In Monkey Town)」 などについて触れたので、ここでは彼女のブログの面白さや日本語圏のブログと比較した時の特徴などについても書いてみようと思う。
先ず彼女に限らず英語圏の筋金入りのブロガーはかなりの購読者数を抱えており、ブログは一種の個人で発刊する雑誌並みの企画や内容、分量を持っている。
レイチェルのブログは常に新しい試みを行っていて、最近のものでは、「インタヴュー」記事シリーズが読み応えがある。
自分のブログに得意の分野の専門家を招いてインタヴューを掲載する、と言うのはよく見られるものであるが、彼女のものはそれをもう一ひねりしている。
レイチェル自身が狭い保守的なキリスト教理解で青年期を迎え、信仰遍歴するようになったが、そんな背景もあって、レイチェルは自分とは異なる立場のものの見方を理解しよう、と言う点で旺盛である。
そんな態度を反映したのがこのシリーズである。ちょっと英語になってしまうが書き出すと、
Ask an Atheistレイチェルはなかなか人脈を作るのも上手なようで、ブログ上でか、色々な講演会での触れ合いからか、上に掲載した様々な立場の人たちをインタヴューするくらい先ず友達になってしまうようなのである。
Ask a Catholic
Ask an Orthodox Jew
Ask a Humanitarian
Ask a Mormon
Ask a Mennonite
Ask an Evolutionary Creationist
「アメリカの新世代キリスト者」でも少し触れたが、この世代のキリスト者は自分たちの抱合するキリスト教が政治的立場や思想的相違で、むやみやたらに対立し、生産的な討論を出来ない硬直化した信仰者になってしまっていることを憂いている。
それでこのインタヴュー・シリーズではブログの読者たちに質問したいことを聞いて集めるわけだが、何よりもインタヴューされる人がどんな考えを持っているかを知ることを最優先している。
だから論争を吹っかけるような質問や、相手の立場にいちゃもんをつけるような質問は避けるように、と要請する。
そうして集めた質問の中からレイチェルが幾つか適切なものを選び、それを相手に回答してもらう、と言うスタイルを取っている。
現在北米の福音主義は、自分と神学的理解が異なる者を排除しようとするどちらかと言うと「狭い福音主義」に走る傾向と、神学的立場や意見がかなり異なっていても、概ね歴史的福音主義の中心を外さない者たちならば受け入れるべきだ、とする「広い福音主義(ビッグ・テントと表現したりする)」とがせめぎあっているように見える。
レイチェルのブログでのこのような試みは、福音主義が狭い殻に閉じこもってしまわないように、周囲の異なる世界観や立場の人たちを尊重する態度を育もうとするスピリットを感じる。
レイチェルのブログは支持者を増やし、投稿された記事には大抵100以上のコメントが寄せられる。そう言う意味では、レイチェルのブログは多様な視点や意見を柔軟に交錯させようとするプラットフォームを提供しているのだと思う。
彼女はまだまだ若く、好奇心に富み、何よりも学習意欲が旺盛で、向上心に溢れている。今後も注目すべきホットなブログだと思う。
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