2012年9月2日日曜日

科学と哲学を区別することによって

久し振りに「英語圏ブログ紹介」を兼ねて。

ロス・マーッケンジーのsoli deo gloriaブログ。

彼の最近の投稿記事、 Distinguishing Science From Philosophyがちょっと面白いのではないかと思った。
「科学と哲学を区別することによって」と訳したが、ロスの記事では「哲学」には宗教も含めた「世界観」的解釈を持つ思想が意図されている。

先ず「科学」だが、簡単に定義すれば「科学的知識」と「哲学的主張」の違いは、
Scientific knowledge is something that is experimentally testable, open to confirmation, and can be agreed upon by a wide range of parties. Philosophical claims do not have these qualities. They are not testable in a laboratory.
まっこれは余りにも教科書的で珍しいものは何もないが、次にロスが挙げる例(科学と哲学の相違)が分かりやすくしてくれる。

(1)
科学:「地球は太陽系惑星の中心ではない。」
哲学A:「人類は特別な存在ではない。」
哲学B:「地理的位置は物事を意義付ける尺度ではない。」

(2)
科学:「太陽は1700億を数える銀河の一つ、『天の川銀河』にある2000億個の星の一つである。」
哲学A:「人類は宇宙においては全く無意味な存在である。」
哲学B:「人間は非常に有り得ないほど偶然の存在である。」
哲学C:「人間はその固有性と有り得なさの故に高度に意義深い存在である。」

(3)
科学:「人間のDNAとチンパンジーのDNAは97%同一である。」
哲学A:「人類は他の動物と何ら異なるところはない。」
哲学B:「動物の命は人間の命と平等に価値がある。」
哲学C:「(チンパンジーとの)3%の違いに如何に人間が固有で特別な存在であるかが示されている。」


このように対比してみれば、「科学的知識」と「哲学的主張」の違いが良く分かるのではないか、とロス・マッケンジーさんは申しております。

皆さんはどんな印象をお持ちになりましたか。


3 件のコメント:

  1. のらくら者2012年9月4日 16:49

    Ross McKenzie さんは、Alister McGrath の "The Foundations of Dialogue between Science and Religion"(1998)に「朱を入れた」人ですよね(この書評も確か公開されているはず)。これが "A Scientific Theology" Vols. 1-3 の推敲に貢献した聞いています。

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  2. のらくら者2012年9月4日 16:57

    思い出しました。これだ。(本文から逸れてすみません)

    Ross H. McKenzie
    http://asa3online.org/asa3.org/ASA/PSCF/2004/PSCF12-04McKenzie.pdf


    Alister E. McGrath
    http://asa3online.org/asa3.org/ASA/PSCF/2004/PSCF12-04McGrath.pdf

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  3. のらくら者さん、記事のフォローありがとうございます。
    マックグラスのとの一件、興味深い二本の論文のリンクを載せて頂いて感謝します。
    ちょっと読んでみましたが、なかなか専門的でちょっと読み終わるのに骨が折れそう。(汗)

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