残暑お見舞い申し上げます。
さて今回の「セブン」は『アメリカと宗教』といった感じのものを多く集めてみました。
1. Americans and God(ニュー・ヨーク・タイムズ、2011年12月11日)
『アメリカ人と神』
キリスト教国アメリカは、キリスト教の退潮著しい西洋において「例外」といわれてきましたが、ここ数年数的な減少が露になり、ついにアメリカも脱キリスト教か、と取りざたされるようになりました。
この記事ではそのような表面的「アメリカ人のキリスト教退潮現象」は一時的なもので、余りにも「政治と宗教が絡んでしまった」ことに対する嫌悪感情から来ているのではないか、と指摘しています。
2. Evangelicals' Claims of Conservative Supremacy Are Overstated(ハッフィントンポスト、2015年5月14日)
『保守派隆盛との福音派の主張は言い過ぎ』
つい最近まで、北米キリスト教諸教派の動向は、主流派の衰退と福音派の伸張の対比で理解されてきましたが、最近のピュー宗教調査で、その構図は崩れた、と指摘します。今や主流派も福音派も殆ど関係なく退潮傾向にあると。
3. Book Review: American Apocalypse: A History of Modern Evangelicalism by Matthew Avery Sutton
『書評、マシュー・エイブリー・サットン「アメリカ黙示録ー近代福音主義の歴史」』
詳細についてはコメントできませんが、アメリカ宗教(キリスト教、特に福音主義)史の指導的研究家であったジョージ・マースデン以降の若手研究家が次々輩出しているようです。サットンもその一人で、最近100年くらいの福音主義運動を、前千年期再臨説に立つ終末論によって特徴付けられる、という解釈を提示しているようです。
4. Waning of Apocalyptic Thinking among Evangelicals?
『福音派の中で黙示的終末思考は衰退しているのか』
これもサットンの本の書評ですが、お馴染みスコット・マクナイトのブログ記事です。歴史家の大局的解釈に対して「ちょっと違うんでないの」と批判しています。確かに影響は大きかったが福音派をひっくるめてのものではない、と指摘しています。
5. Interview with Matthew Avery Sutton
『インタヴュー:マシュー・エイブリー・サットン』
このインタヴューで、サットン自身が、本に著したようなアポカリプティックなキリスト教の環境で育ったこと、それが後の歴史研究に繋がっていると答えています。
6. オープンダイアローグって何だ?
去年から「カウンセリング」の機会が増えました。いわゆるセラピーと名のつくものは少なくとも大体名前を知っていたりはしますが、カウンセリングの実際でそれら様々な理論や説の実効性や妥当性を考える機会はありませんでした。現在実地研修中ですが、この新著はかなり革新的なアプローチを取っているもので興味深いです。
7. 「こころ教」のガラパゴス
イスラム地域研究者、東大の池内教授のブログです。「こころ教」とは「浄土真宗の僧侶で仏教学者でもある佐々木閑氏」 の説で、現代仏教の分析に用いられているキーワードですが、佐々木氏がそれを現代イスラム教にも応用しようとしている点に鋭く批判しています。
以上でした。
実は上記3、4、5で取り上げた、マシュー・エイブリー・サットン「アメリカ黙示録ー近代福音主義の歴史」については独立したブログ記事を書きたかったのですが、今のところできていません。
関心のある人にはよだれが出るような研究機運が「ジョージ・マースデン以降の福音主義の歴史研究」でみられます。
その代表的な歴史家とその著作を紹介している記事を以下に挙げておきます。
Nathan A. Finn, Evangelical History after George Marsden: A Review Essay (リンク)
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