2011年6月3日金曜日

「ミツバチの羽音と地球の回転」

標題タイトルの自主上映ドキュメンタリー映画を早稲田奉仕園で見てきた。

映画のオフィシャルサイト

鎌仲ひとみ監督のドキュメンタリー映画としては三作目のようだが、「ヒバクシャ -- 世界の終わりに」「六ヶ所村ラプソディー」に続く原爆、原発から来る被爆の問題群を一貫して追跡している映画である。

今回の映画の構成は二つになっている。
メインは中国電力・上関原発反対運動に島をあげて取り組んでいる祝島の人々の生活ぶりである。漁業と農業で暮らす高齢化の島。島と島を取り囲む環境に対する島民の思いがひしひしと伝わってくる。そこに無理やり原発を持ち込もうとする大企業と島民との闘争。力関係から圧倒的不利なのだが、島民は一致団結して反対運動に体を張って取り組んでいる姿が感銘を与える。

間に挟まれているのは人々の生活と密着したエネルギー政策を地域の人々が主体的に選択しているスエーデンの村の様子。またエネルギー転換や節電、エコを推進することで企業価値を高めようとする試みなどが紹介されている。自分たちが使うエネルギーを自分たちで選択する、というスエーデンの姿が原発問題を抱える日本の将来にヒントを投げかける。

監督の原発に対する姿勢は明確だが、映画はそんなイデオロギーがかったものではなく、島の生活を、島に生きる人々の考えを丹念に描いている。彼らの反対運動は真剣だが、四六時中眉間にしわ寄せているだけでなく、ユーモアや人間性を感じさせる場面が幾つも描かれている。

2時間15分はちょっと長い気もするが、全体に「人が生きる」原点を随所で考えさせてくれる点ドキュメンタリー映画の強みではないかと思った。

上映後は鎌仲監督の30分を越えるトークがあり、福島第一原発による内部被曝の危険などに関して、今までの自身の映画製作を通して蓄積された被曝に関する薀蓄を披露してくれた。
来場者の中には問題意識の高い方も結構いたであろうし、既に既知のことも多かったであろうが、監督の啓発的でいて機知に富んだトークは聞いていて気持ち良いものであった。

このブログで取り上げた原発問題に関する情報源となった人々(小出裕章、後藤政志、田中三彦、藤田祐幸、石橋克彦、広瀬隆、広河隆一、等)は今や多くのメディアに取り上げられるようになった。
鎌仲監督も日本の今後のエネルギー選択を考える上で映画の中でも取り上げた飯田哲也氏や田中優氏などの名前を挙げていたが、代替エネルギーにせよ内部被曝の危険にせよ、とにかく私たち自身が必要な情報を自分で確保する大切さを強調されていた。

※入場料1,000円はすべて義援金として寄付されるそうである。
【義援金送付先団体】
測定器47台プロジェクト(リンク)    
母乳調査・母子支援ネットワーク(リンク)

このような草の根的啓発運動が今後も市民の原発問題への意識を高め、選択できる社会へと変えていく力となることを願う。

是非皆さんも機会があったらご覧ください。

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