2011年3月7日月曜日

価値観の違い

朝日新聞朝刊に週一回だか
The Asahi Shinbun Globe
と言う数ページの記事が挟まっている。
紙の色も白くなっていて、何か雑誌のようなスタイルで、それとはなしにページをめくるのだが、ついぞまともに中身を読んだことがなかった。
今朝たまたまその中の The Author と言うコラムを読んだ。

Sophia Raday, Love in Condition Yellow: A Memoir of an Unlikely Marriage (「黄色信号の愛:ありそうもない結婚の記」)
の著者ヘのインタヴュー記事だ。

サンフランシスコ近郊で、バリバリの民主党支持女性が、ガチガチの共和党支持男性と恋に落ちて結婚し、それが10年も続いた、と言うことを書いた本である。

今の日本だと支持政党の違いでどれだけ価値観が違うか、と不思議に思うのだが、現在のアメリカでは人種の違いより、大きな溝を生むのだと言う。
--- 同じアメリカ人で同じ白人。そんなに意見が違うのはなぜですか。
根っこにあるのは世界観の違いだと思います。彼みたいな筋金入りの保守派は、ひと言で言うと、「家父長制」社会を理想視します。指導者は厳父タイプで、人々は権威に従い、秩序を重んじる。私のようなリベラルは、逆に「慈しみ合う社会」が理想。権威や階層を嫌い、弱者に救いの手をさしのべる平等な社会を目指す。今の米国では、多くの市民が二派に別れ、いがみ合っているのが現状です。
--- 保守とリベラルの溝はそんなに深いのですか。
外国の方々には、米国で最も深刻な問題は「白人と黒人の対立」と思われているかもしれませんが、実際には保守とリベラルの対立の方が深刻です。・・・
--- ご夫婦は価値観の違いをどうやって克服したのですか。
数え切れない衝突から学んだことは、彼は彼のゴーグルを通して世の中を見ているし、私の視界も実は私のゴーグル越しのものだということ。以前は「彼は変な色のゴーグルを着けてるから、あのゴーグルを奪い取ってまともな人間に変えてやる」と思い込んでいました。でもそういう自分も決して「裸眼」ではなく、すっぽりとゴーグルを着けていたんです。口論の連鎖から抜け出すため、互いに反論せず、説得もしないで、じっと相手の話を聴くように努めました。
このインタヴューから二つの大事なポイントが示唆されている。
①口論し合っている地点から一歩引いて、その状況を解釈論的地平で捉え直す。彼女の言では「ゴーグル」という比喩が用いられているが、相互に一定のフィルターを通して世界を見ているのだ、と言う状況を認識すること。
②対話の姿勢。第一歩は相手の言うことを先ずじっくり聞くこと。

これに関してはアメリカ文化と日本の文化とかなり違いがあって、アメリカはやはり自己主張が出来て何ぼの文化だ。議論が好きで、相手を打ち負かすことに熱心になりやすい。日本人はと言うと論理的に自己主張することが余り得意ではない。相手の言うことを承認できなくてもマナーとして肯定するのが礼儀みたいに感ずる。

どちらにしてもこのインタヴューから現在のアメリカ保守派事情、特に「グレン・ベックGlenn Beck (Wiki)現象」や「茶会運動Tea Party movement (Wiki)」を連想させた。

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