そう言うわけで内容については「旬」がいのちと思ってください。
中野晃一教授は現在上智大学に所属。
専門は政治で、現在は日本に集中しているようだ。
東大での公開講演会は英語で行われたもので、多分40人くらいはいたと思う。
New Right Japan: The Neoliberal Path to Illiberal Politics
『日本のニュー・ライト新自由主義から非自由な政治へ』
と訳してみたが専門用語は知らないのであくまでいい加減。
大体が二つの理由でこの講演に行ってみることにしたのだ。
一つは、英語でなされる講演ということで、日本人の教授がどの程度の英語を操るのか興味があった。
二つ目に、聴衆はほぼネイティブだろうと予測して、よりフランクな内容を期待できると思った。
以上の二つの期待とも満たされた。
(1)戦後レジーム(1955年体制)の崩壊過程を3段階に分けて現在の「ニューライト」まで辿る『大きなピクチャー』を提示し、キーワードを使って大づかみな分析。
(2)詳細をQ&Aで補う。
と言う形式で、ほぼ1時間半近くを費やした。
短時間だが実入りのいい講演会だった。
中野教授の英語は専門用語だけでなく、普通の表現もレベルの高いものを苦もなく操っていて、十分ニュアンスを出していた。
分析内容においては、専門家からは「データ分析に基づくトレンド分析が足りないのではないか」的なことを言われていたが、やはり大きなピクチャーを軸に現在の政治動向(右傾化とその性格)を指摘していただく方が、素人には分かりやすかった。
講演のアウトラインは専門用語も含むので簡単に書いても間違うだろうから省略する。
Q&Aの部分も含め、素人なりに拾えたポイントを幾つか挙げてみると:
・「インタレスト・ポリティックス」から「アイデンティテイー・ポリティックス」へのシフト
・1955年体制以降の政治分析で重用されてきた(加州大バークリー校だと思う)チャルマーズ・ジョンソンが最早効かなくなってきた、みたいなこと。
・日本会議がスタートした1997年は重要
・二大政党制の失敗や総評、日教組などの無力化、政治家の世襲化、などが合わさって政治が寡頭政化し、権力のチェックが出来ない危ない状況が出来つつある。
・戦争できる体制作りは、憲法を骨抜きにするいわばクーデター的に出来つつある。
・ライバル政党のいない状況で、メディアは長期政権を批判しにくい、官僚は法案を通す千載一遇のチャンス・・・と協同的な態勢が出来てしまう状況。
この他、「特定ヒミツ保護法」や「慰安婦」「ヘイトスピーチ・嫌中国・嫌韓書籍が公然と並べられる書店」など、現在の右傾化の状況についてコメントがなされた。
いやー、あっという間の1時間半だった。
《追記》
思い出した。せっかくだから書き足しておこう。
「ネットウヨ/ヘイトスピーチ」関連の質問への回答で。
質問は「年齢層」に関してのものだったが、社会科学的な統計に基づくリサーチが足りない現状を指摘していた。
「民主党の失敗」
がもたらした二大政党制と言う「実験」へのダメージを、何度か「トラウマ」と言う表現を使って指摘していた。官僚に与えた影響の大きさ。
「慰安婦問題」
質問の細かなニュアンスは忘れたが、2014衆院選時の自民党のマニフェストに記載されている文言が「クマラスワミ報告」を受けてのものであるだろうことを指摘していた。
今朝になってそのことを思い出し、検索してみたがこれのことのようである。
虚偽に基づくいわれなき非難に対しては断固として反論し、国際社会への対外発信等を通じて、日本の名誉・国益を回復するために行動します。へー、自民党のウェブサイトはこうなっているのか・・・というのが感想。
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